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親会社出向社員とプロパー社員の賃金格差を解消したい!?

2017.2.11.

先日、ある会社の人事部長から相談がありました。

その内容とは・・・

 

●当社はある会社の子会社で、親会社からの出向者が全体の30%を占めており、当社プロパー

 社員と比べると賃金水準もかなり高い。しかし、同じ役職、同じような仕事をしている当社

 プロパー社員と出向社員の仕事ぶりや能力を比較すると、明らかに当社社員の方が上の場合も

 ある。しかし、賃金(特に賞与)は当社社員の方が相当低い。いろいろと不満が出ている。

 賃金格差のための何か良い方策はないか。

 

とのことです。

 

誤解を恐れずに言いますと、この問題はどうしようもありません。自社として主体的に問題解決

しようとしても限りなく無理なのです。

自社社員の賃金レベルを親会社出向社員と同水準まで引き上げることは、ほぼ無理な話でしょう。

逆に、親会社出向社員の賃金を下げることもできません。

親会社の社員ですし、自社の社員でもありません。全く不可能と言っても過言ではありません。

そもそもこの賃金格差の解消をどう実現するかということを考えること(悩むこと)自体がナン

センスなのです。

 

何故かというと、自社としての問題ではないからです。

問題とは「目標と現状のギャップであり、解決すべき事柄」です。

解決不可能(例えば、円高を是正する、業態を変更する)なことや、ギャップを認識しながらも

当面様子を見る、もっとギャップが大きくなってからでも遅くはない、放っておけば自然に解消

するだろう・・・など、解決の意思のない場合もあるので「解決すべき事柄」を含めて問題を捉

えています。

 

このような意味合いから、親会社と自社の賃金格差の問題は、自社単独で解決できる問題ではな

いので、自社としての問題ではないと捉えるのです。

 

    ※確かに今後解決していきたいテーマであり、やはり問題は問題です。しかし、自社だ

     けの努力ではどうにもなりません。この問題に正面から取り組んだとしても、多大な

     時間と労力が必要でしょう。しかも、事例会社の問題の本質は、賃金格差是正にある

     のではありません。社員のモチベーションであり、育成であり、生産性なのです。

 

むしろ、自社を取り巻く環境要因のひとつであるという風に捉えた方が良いと思います。

すなわち、賃金格差を問題にするのではなく、自社社員のモチベーションや仕事の生産性を問題

(テーマ)にして、その改善・強化の仕組みや施策を考えるのです。

環境を変えることはできないけど、自社自身のことならば変えられる可能性は十分にあります。

 

     ※もちろん、自社内でも、例えばある取り組みに対して社長が強烈に反対している

      場合は、これ自体が自分にとっての環境要因のひとつとして捉え、自分自身をどう

      変えていくか、社長の考えを前提にどのような方法・やり方があるのかを考える必

      要があります。すなわち、テーマ・課題・問題などなどをブレークダウンすること

      で、自社(自部門・自分)でできること、やるべきことを徹底的に具体化できれば、

      根本の問題や最適な改善策が見えてくるのです。

 

話を元に戻しましょう。

他社や親会社と必要以上に比較するのではなく、当社としての人事制度・賃金制度といった切り

口で社員のモチベーションや生産性を考えるのです。

 

ちなみに、賃金の高低は不満足要因の増減に影響するもので、本当の意味でのモチベーション

アップにはつながりません。

賃金が高くなれば不満足要因の解消にはなりますが、それで継続的なモチベーションアップは

実現できません。

一時的なアップは望めますが、その状態(賃金水準)が当たり前となり、また他と比較して高い

低いなどの不満がでるのです。

当社として、社員の成長を願うならば、どのような制度作り、運用が望ましいのかといった観点

から考え、見直しをしていくことが大切です。

 

キーワードは「安心・安定・客観性・公平性・多様性」でしょうか。

会社が求める仕事ぶりの実現度に応じた評価の仕組みを、客観性・公平性の観点から整備し、継

続的に運用することで、安心・安定感のある制度を目指します。

 

但し、“みんな仲良く一律・一定に昇給しましょう”、“勤続年数も長いし年も年だしそろそろ

昇格させよう”といったものではなく、評価結果に基づいた「真に公平感」のある制度作り・運

用実施を目指します。

過度な競争意識は排除して、自社社員としてどのような仕事ぶりを求めるのか、

 

   ●「何を(やるべきこと)

    「どのように(仕事の仕方)

    「どこまでやれば(会社への貢献度)

    「どうなるのか(自己成長イメージと処遇)

    「何が課題か(会社と自分の成長に向けたテーマ)

    「どう改善するか(改善策と改善後の状態)

 

が、明確にでき実践できる制度が必要です。

 

一人一人の社員が、自己の責務を理解し、スキルとモチベーションを高めることができる制度と

運用が大切です。

そして、結果として、「理念・ビジョン・目標に適う仕事ぶり」で、「人材育成・職場活性化・

業績向上」の善の循環を作り上げることこそが大切なのです。

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