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評価制度は「課題発見手段」、教育制度は「課題解決手段」

2016.2.16.

評価制度も教育訓練制度もどちらも人材育成を目的にした制度ですが、この2つ

を関連付けて運用している会社は以外と少ないようです。

 

なぜ関連付けが必要なのかと言いますと、

 

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  • 評価制度は「社員自身が自分の能力レベルの現状と課題を自覚するための手段」

 であり、教育訓練制度は「能力アップのための手段」です。

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ですから当然関連付けが必要です。

 

どのような関連付けが必要かというと、まず、評価制度の策定で整備される

アウトプット資料には、

 

・人事評価基準書(人事評価シート)

・能力要件表

 

があります。

 

人事評価基準書は、部門別・階層別に作成する必要があります。

能力要件表は、採用する賃金形態や諸々の事情にもよりますが、原則、職能資格

等級別に作成する必要があります。

 

もちろん、他にもいろんな資料を整備する必要がありますが、人材育成との因果

関係においてはこの2つの資料(機能)が重要な意味を持ちます。

 

人事評価基準書は、社員の担当責任業務の遂行プロセスやアウトプットを、設定

された評価項目で評価するもので、当該年度(上・下期)の昇給や賞与の決定

根拠となります。

 

一方、能力要件表は、社員の業務遂行の結果として得られた能力の保有度合を

判定するためのもので、主として昇格の審査・決定の根拠となります。

 

(注:昇格の審査・決定の基準は、能力要件表だけではありません。

人事評価結果や面接・レポート審査など必要に応じて多面的に見る必要が

あります。ちなみに、能力要件表を補完するものとしてスキルマップ表を

作成することも必要かもしれません。スキルマップ表とは、例えば、等級

別(又は階層別・部門別)に、必要な技能・知識・資格などを具体的・個

別に整理したものです。)

 

ですから、人事評価基準書の評価項目と能力要件表の判定項目は、原則的には同

じ項目です。

どちらも人材育成に向けた指針となる項目ですから、項目そのものが食い違う

はずがないのは当然なのです。

 

但し、一つだけ決定的な違いがあります。

それは何かというと、前者が「業務遂行のプロセスとアウトプットそのもの(い

わゆる発揮能力)」であるのに対して、後者はあくまでも「業務遂行の結果とし

て保有した能力そのもの(いわゆる保有能力)」ということです。

これに関しては、以前のコラムでご紹介したとおりです。

 

いずれにしても、これらの両方をきちんと作成していくと、会社として求めたい

レベルが鮮明に見えてきます。

そうすると、会社として求めたいレベルと実際の社員の評価(判定)結果から、

社員の課題といったものも見えてきます。

 

これらの課題をどのように改善していくか・・・。このテーマに応えるものが、

教育訓練制度なのです。

 

ですから、

 

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  • 評価制度は「課題発見手段」であり、

 教育訓練制度は「課題解決手段」なのです。

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ところで、大企業では、階層や部門別に様々な研修・セミナー・講習会や、更に

は自己啓発サポートの仕組みなどを整備していますが、中小企業の場合は、現実

的にそのようなわけにはいきません。

 

その時々で、必要なものをチョイスし、しかも予算を気にしながらスポット的に

実施しているのが現実ではないでしょうか。

 

ただ実態として、会社規模の大中小に関係なく、多くの会社ではこれらの教育

訓練は人事評価制度とあまり連動していません。

 

せっかく、人事評価制度で期待する社員像を明確にしたにも関わらず、教育訓練

の仕組みが機能しないと、人事評価制度そのものの価値も薄れてしまいます。

 

前述したように、社員の課題を明確にするものが、人事評価基準書であり能力要

件表(更には、スキルマップ表)です。

そして、この課題を改善するためには、教育訓練の仕組みが必要です。

 

一般的に必要だからといって、いろんな教育訓練カリキュラムを作成し実行した

としても、本当の狙いや課題があいまいでは社員のモチベーションも上がらない

でしょうし、効果も期待できません。

 

個々の社員の課題を明確にして、その改善手段としての教育訓練の仕組みがあっ

てこそ、人材育成が実現できるのです。

 

もちろん、人事評価基準書や能力要件表から、社員自らが自分の課題を自覚し

主体的に改善していく、あるいは上司のサポートを受けながら前向きに改善して

いくことは大変好ましい姿なのですが、どうしても限界があります。

 

やはり、会社のシステムとして、人事評価制度と連動した教育訓練の仕組みが

必要なのです。

 

すなわち、

 

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  • 個々の社員が自分自身の課題を自覚し改善実行すること
  • それをサポートする会社の教育訓練の仕組みを作ること

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は、車の両輪のごとく重要なものです。

 

ちなみに、ここでいう教育訓練の仕組みとは、何も研修・セミナー・講習会と

いった集合教育だけではありません。

 

現場での上司(あるいは組織ぐるみ)による指導(すなわち、現場OJTのノウ

ハウ・方法・体制の仕組み)はもちろん、これらの効果性検証の仕組みなども含

まれます。

 

また、中小企業の場合は、最初から全ての課題に対応したトータル的な教育訓練

の仕組みを作り、しかも実践することは並大抵のことではありません。

 

まずは人事評価制度とリンクした教育訓練のフレームを整理し、その上で、計画

的に重要なテーマから具体的に設計し実行していくことが肝要です。

 

 

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