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人事制度(人事評価制度)の3つの段階の価値とは

2015.6.8.

人事評価制度の本来の目的は「人材の育成、職場の活性化、業績の向上」です。

そして、これらを実現するためには次の3つの段階の価値を確実に実現(ステップアップ)する

必要があります。

 

 ・第1段階~社員を正しく評価し、正しく処遇に反映させるといった「制度としての価値」

 

 ・第2段階~人材育成・職場の活性化といった「企業体質改善手段としての価値」

 

 ・第3段階~実際の売上・利益の向上やコストダウンなどによる「新たな付加価値獲得手段

       としての価値」

 

簡単に言うと、形を整え(第1段階)、魂を吹き込み(第2段階)、結果を出す(第3段階)ための

手順ということです。

 

弊社が今まで関与してきた企業やある程度面識のある企業の全体を母数とした場合、その内の約60%

が第1段階で留まっている企業です。

 

それでは残りの40%が第2・第3段階かといいますと、実はそうではありません。大体20%程度

です。それでは残りの20%はというと、第1段階ですら到達していない企業なのです。

 

しかしこれらの企業が業績に四苦八苦しているかというと必ずしもそうではありません。
これが経営の奥深いところなのかもしれませんが。

 

しかし、第2・第3段階がある程度実現している企業は業績が相対的に良いといった傾向は間違いなく
あります。
いずれにしても、この3つの段階の価値を一気に駆け上がるための制度作りと運用の実践が必要なのです。

 

 

●第1段階~「制度としての価値」とは?

 

何度も言いますが人事評価制度の本来の狙いは「人材の育成・職場の活性化・業績の向上」です。
そしてこれらの本来的な狙いを実現するためにまず必要なことは、「制度としての価値」が存在すると

いうことです。

 

制度としての価値が存在しない限り、これらの本来的な狙いの実現はありません。
やはり最終的には評価結果によって処遇を決定するわけですので、より適正に評価できる制度が必要です。

 

しかし、この第1段階でつまずいてしまっている会社が大変多いのも現実です。
また、第1段階といっても、それなりのハードルがあるのも事実です。
第1段階をさらに3つに分解しますと、

 

・制度そのものがない。あってもほとんど使われていない(機能していない)。

 

・とりあえず作成(書籍や他社のモノマネ)し、ルールや基準に則って運用されている(実態はルールや

基準が無視されてしまっている)。

 

・当社の人材上の課題が反映された評価制度があり、ルールや基準に則って運用されている(ここで

ようやく第1段階の価値に達する)。

 

評価制度をきちんと作り、より適正に評価・処遇するということは最低限必要なことです。
また、制度もさることながら、より適正な評価を行うためには、評価者の資質や能力も大きく影響して

きます。ちなみに、部下を正しく評価できる能力は管理者にとって大切な管理能力のひとつと言えます。

 

これらの管理能力があり、その管理能力を発揮できる仕組みや意識の醸成ができれば、次の第2段階の

価値につながります。

 

 

●第2段階~企業体質改善手段としての価値

 

この第2段階は、第1段階の制度としての価値を備えていることが前提です。
しかし、適正に評価し処遇に反映させた結果として、人材育成や職場の活性化につながらないと

その価値は半減どころかほとんど意味のないものになってしまいます。

仕事ぶりの現状と改善課題を本人自身が自覚したり、また上司が適正に導き出すことで、やる気や

スキルの向上を図ることが必要です。

 

例えば、評価項目「部下指導」といった観点から自分の仕事ぶりを振り返り、

 

・今自分はどのレベル(評価点)なのかを自覚すること

 

・レベルアップを図るためには今後どのように自分の仕事ぶりを改めればよいのかといった改善目標

をイメージすること

 

・また、会社や上司がこれをサポートするための仕掛けや体制を整備し実践すること。

 

これらの意識と仕組みがあって初めて第2段階の価値が実現できます。

 

ちなみに、やる気(モチベーション)は能力ではありませんが、社員自らの主体的な能力向上意欲の

源泉です。このモチベーションアップの仕組み、そしてスキルアップの仕組みを制度そのものや運用に

組み込むことで、社員自らの能力開発や会社の様々な課題改善につなげていくことが必要です。

 

 

●第3段階~新たな付加価値獲得手段としての価値

 

制度としての価値や企業体質改善手段としての価値が実現できたとしても、これらが会社の売上や利益に

直結するとは限りません。
中長期的には会社の業績に寄与するとしても、多くの場合、すぐに寄与するわけではありません。

 

会社の将来を見据えて企業体質改善の努力を行うことはとても重要ですが、企業体質改善とほとんど同時

並行的に売上・利益の向上が実現でき、しかも継続性があれば鬼に金棒です。

 

どのような制度や仕事も最終的には売上・利益につながらないと会社の存続は望めません。
社員の能力アップの結果を会社の業績に変換できる自社独自の具体的な仕組みが必要です。

 

 

以上が3つの段階の価値です。

 

「何年かかってもいいから腰を据えてじっくりステップアップして行こう」といった意識では、何年

かかっても第1段階ですら実現できません。

 

また、会社は常に環境に適応し続け成果を上げることが求められます。
この意味から言いますと、会社は「環境適応業」なのです。
そして、そのためには、ビジョンを定め正しい戦略を打ち出し実行していきます。

 

ですから会社の戦略を人材面で具体化し、それを支え、結果として具体的な数値成果までをも求める

ものが人事評価制度なのです。

 

人事評価制度を単なる制度として運用するだけでなく、人材育成と売上・利益を同時に実現させる

「基幹システム」として位置付けて運用することが、今この時期、必要なのではないでしょうか。

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