2015.6.17.
どんなに素晴らしい人事評価制度を策定しても、それが適切に運用されないと全く意味がありま
せん。
今回は、制度を運用するに際して特に大切な“上司による部下評価”のセオリーとも言うべき
評価の進め方をご紹介します。
人事評価を実施するにあたって、「3つの判断行動」といったものがあります。
■「行動の選択→要素の選択→段階の選択」の3つの判断行動です。
このステップを確実に踏んでいくことが評価実務の基本です。
≪行動の選択とは≫
人事評価では、まず「行動」という事実があったのか、なかったのかという事実を把握すること
からスタートします。
但し、行動の事実がそのまま全て評価の対象になるわけではありません。
例えば、次のような場合は、評価対象の行動なのか、評価対象外の行動なのか・・・
どのように判断したら良いのでしょうか?
・時間外の自己啓発の勉強会に参加する・しない
・自分の仕事を中断して、他者・他部門の仕事の応援を行った
・昼休みに電話が鳴った。とる・とらない
・資格取得のために通信教育で勉学に励んでいる
・仕事以外では他の社員との交流が一切ないし、話もしない・・・・・など
単純な例ですが難しい判断です。
しかし重要なことは、会社全体で同じ判断基準に立つことです。
評価者によって、又は部門によって、判断基準が違ってしまうと、公平な評価ができなくなり、
社員に不満や不信感が出てきてしまいます。
≪要素の選択とは≫
人事評価で対象とした行動をどのような要素で受け止めるか、どの要素(評価項目)に結びつけ
るか、これが要素の選択です。
例えば・・・
「Aさんは残業してまで自分の仕事を今日中に仕上げた」
「Bさんは自分の仕事をいったん中断してまでもCさんの仕事を手伝った」
といった業務行動があった場合、どの要素で評価するのか、その時の判断行動を明確にしようと
するのが要素の選択です。
従って、正しい要素選択のためには、まず評価要素について全社共通の理解を持つことが重要
です。
次に、一つの行動には一つの要素を対応させるということです。
上記のAさんの例でいうと、
・「今日中に仕上げたのだから責任感がある、一生懸命やったのだから積極性もある、他人に
迷惑をかけないようにと思ってやったのだから協調性もある」
という具合に、ダブル・トリプルの評価をしてはなりません。
もしこれを許せば、一つ良いことがあれば全て良くなってしまうし、逆に悪いことがあれば全て
悪いという評価になってしまうからです。
例えば・・・
・〇〇の場面において、相手の立場や能力を踏まえた上で、自分の意見や主張を適切に伝え、
結果として当方の意図した方向に動かすことができ、また、モチベーションアップにもつな
がった。
⇒これは、「コミュニケーション」と「リーダーシップ」に該当すると思われますが、
「ひとつの行動=ひとつの評価項目」として対応づけるため、両方で評価するのではなく、
どちらか一方で評価します。
但し、これらは原則であって例外もあります。ひとつの行動に対して複数の評価要素と対応づけ
てもよい場合もあります。
≪段階の選択≫
評価基準(例えば5段階基準であればそれぞれの段階の基準内容)に照らしてどうであったかが
ポイントととなります。
すなわち、基準をクリアー(満足)しているか、していないかという達成度を問うものです。
以上が3つの判断行動で、評価を実施する時に欠かせない原則的な考え方です。
これらを、評価者訓練トレーニングで徹底し、実際の評価の現場で活かしていくことが大切です。
但し、これらの考えをうまく運用の中で実施し本当に人材育成を実現するための前提は・・・
・評価項目が当社の人材育成課題と連動していること
・そして、その評価項目の定義や基準が絶対評価方式の考えで明確になっていること。
すなわち会社として求めたい仕事ぶりの水準が明示されていること。
です。
弊社では、評価者訓練研修を行っています。
一般的な評価者訓練研修ではなく、対象企業様の評価制度の内容や特徴を確認させて頂き、対象
企業様オリジナルな各種評価事例を開発し、演習と討議主体で実施します。
是非ともお問い合わせください。