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「働き方改革実現の決定的ノウハウ」~労働時間の短縮と付加価値向上を同時に実現する手法(後半)

2017.7.30.

「働き方改革実現の決定的ノウハウ~労働時間短縮と付加価値向上を同時に実現する手法」
紹介コラムの後半です。
■■(3)業務生産性を阻害する要因■■──────────────────────
何故、生産性の向上が実現できないのでしょうか。製造現場での生産性は世界でもトップ
クラスですが、問題なのはホワイトカラー層の生産性です。あるいは、人の仕事の仕方
そのものの生産性です。どのような阻害要因があるのでしょうか。大きく2つあります。
■①作業環境の悪さ■
知的作業は目に見えません。だから周囲の人が平気でジャマをするし、アドバイスもでき
ないのです。
※ここで言う知的作業とは、単なるモノの運搬や組み立て業務以外の業務の意味です。
忙しく仕事をしていても何をやっているのか分かりません。パソコンに向かって難しい顔
をしていても何を悩んでいるのか、どのようなことを考えているのか分かりません。
だから、つい声をかけてしまうし、タイムリーなアドバイスもできません。
クリエイティブな仕事であればあるほど中断されると生産性が落ちてしまいます。
例えば、上司から声をかけられたり、電話に出たり・・・と仕事が中断されると、その後
思考が元の状態に回復するまで時間がかかります。
また、非効率な仕事の仕方をしていてもタイムリーにアドバイスもできません。
ある程度のアウトプットが出てきて、初めていろいろと指摘・アドバイスができます。
でも、あとの祭りです。やり直しが発生してしまうのです。
これらは、ついつい邪魔をしてしまう、すぐにアドバイスができないと言った問題を職場
環境の問題として捉えたものです。
■②知的作業には品質基準がない(又は明示されない)■
だから自分勝手な基準を設けてしまうし、スピードも問題にされにくいのです。
その結果、過剰品質となって無駄をしたり、不良品質となってやり直しをしたりという
ことになるのです。
指示者と受け者でのアウトプットのすり合わせができていないのです。
ですから受けた方は勝手な判断でアウトプットを考えます。
例えば、概要書1枚で良いところを時間かけて詳細レポートにまとめる・・・など。
また、納期までにできるだけ良い仕事をしようといった考えが先行してしまいます。
納期短縮、すなわち時間生産性を上げるといった意識が希薄なのです。
納期前に持っていったら、逆に詳しくチェックされてやり直しになりかねない、なんて言
われる方も出てくる始末です。
更にやっかいなのは、不良品質はすぐに指摘されますが、問題は過剰品質です。
逆に評価されてしまうのです。
指示されたこと以上のことをやれば「君は仕事ができる。優秀だ・・・」などと評価され
てしまいます。だから過剰品質はなかなか是正できません。
これは指示されたこと以上の仕事をやること自体に問題があるわけではなく、指示者と
受け者の仕事のやり方に問題があるのです。
事前に当該業務のアウトプットイメージをすり合わせ(≒品質基準のすり合わせ)ること
で、適正な品質が維持でき生産性向上に貢献するのです。
業務生産性向上の観点から大切なことは「適正品質」なのです。
■■(4)業務生産性を阻害する要因を取り除くための3つの視点■■─────────
これには以下のとおり3つの視点があります。
■①作業環境を整えること■
精神の集中できる職場環境作りと、仕事の仕方をマスターします。
誰からもジャマされない環境作りです。例えば、職場全体で誰からもジャマされない
(ジャマしない)で自分の仕事に集中できる時間帯を設定するなど・・・。
外部からの電話などでなかなかコントロールできない場合もありますが、これもいくつか
の工夫で対応可能となります。
■②作業品質目標(基準)と作業スピード目標をたてること■
過剰品質をなくしスピードアップに挑戦する仕事の仕方をマスターします。
私たちの仕事の特性ですが、時間目標を設定するだけ(すなわち意識するだけ)で10%・
20%程度の短縮は十分に可能です。
■③作業方法の開示と共有化■
仕事の仕方のノウハウの共有化と、その改善の日常化を促進します。
仕事のゴールとゴール実現のための手順・方法・手段の明示(可視化)し、共有するのです。
■■(5)業務生産性向上の具体的な手法と進め方■■────────────────
4つのステップがあります。
●ステップ1:「意味ある(価値ある)仕事に時間を使う」
・個人と組織の仕事のたな卸しの実施
→ 付加価値につながる仕事とは何か、何にどれだけ時間を使っているかを整理する。
●ステップ2:「これからやろうとする仕事を把握する(自分のミッションを自覚する)」
・タイムバジェット管理(時間の予算管理)の実践
→ 実施予定の仕事の総量と個々の仕事の必要時間を把握し、その優先順位を設定する。
時間は無尽蔵にあるわけではありません。限られた時間の中で生産性を上げることが必要
です。安易な残業発想は、組織にとっても個人にとっても生産性を阻害します。
●ステップ3:「個々の仕事の進め方を事前設計する」
・仕事の分解手法(タスクブレークダウン)の実践
→ アウトプットとプロセスを事前に整理し可視化する
当該業務で実現するアウトプットの明確化とアウトプット達成に必要な個々の仕事の手順・
方法・手段を明確にします。
多くの人の仕事の仕方は、何かあったらその場で対応しようといった「課題発生型」であ
り、その結果、モレ・ヌケ・ミスなどが起こり、やり直しが生じてしまいます。
しかもやっかいなのは、それが組織の中では半ば当然の如く認知されており、誰も何も
指摘しないということです(モレ・ヌケ・ミスは起こるものだと言った意識)。
大切なのは、「計画を実績で管理する」といった発想から、「計画を目標で管理する」と
いった発想への転換を行い、アウトプットとそれを実現するための手段・方法を可視化し
共有することです。できる限り計画の段階で、その仕事のアウトプットとプロセスを整理
するのです。
このような仕事の進め方は、戦略立案、部門マネジメント、部下育成、課題対応、顧客商談、
新規業務対応など、様々な業務や場面で有効な手法です。
そして、このような仕事の進め方を行うと言うことは、例えば(考え方として)、30分
余計に時間をかけて段取りを整え、結果として60分短縮するといった発想です。
しかも品質アップ(モレ・ヌケなどの防止。適正品質)につながります。
●ステップ4:「生産性向上度合を可視化する仕組みを整備する」
・仕事と人の両方で、その改善(育成)状況を指標化し可視化する
例えば、計画業務の実行度、付加価値業務の稼働率、コミュニケーションスキルの向上度、
部下指導力の向上度、職場活性化度・・・など、特に今まで定性的にしか把握できなかった
人と仕事に関する改善度を可視化します。
改善度合いの進捗管理ができますし、何よりも目で見て自分の(組織の)生産性向上度合を
実感することでモチベーションにもつながります。
以上が業務生産性向上の考え・手法です。
これらの取組みは、ITツールの導入や設備の導入などと比べると、派手さはありません。
実に地味な取り組みです。
しかし、ホワイトカラーの生産性の原点は人そのものの仕事の仕方・進め方なのです。
これが改善されないとハード面だけ整備しても生産性は決して上がりません。
一時的なものになってしまいます。ハード面も含めて生産性向上の善の循環作りで、日々
向上していける状態を作り出すことが大切です。
仕事とプライベートの両面で意識と行動を変えることができる手法で、業務生産性を上げ
る最大の肝です。
もちろん、働き方改革のスムーズな展開にも必要不可欠な取り組みです。
※上記の各ステップでは、これらを実践するためのツールが重要な役割を担います。
いくつかの実践ツールを整理して取り組むことが肝要です(お問合せ下さい)。

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